パリ!パレ・ロワイヤル劇場で上演中。鼻が大きいことがコンプレックスで愛されることをあきらめた男シラノとその作者エドモンドの物語
パリのパレ・ロワイヤル劇場で、2016年からロングラン上演中の舞台『Edmond / エドモンド』は、今年の5月に上演回数1000回を超えました。
フランスの権威あるモリエール賞を5部門受賞し、パリで大人気のこの劇は、フランスの劇作家、エドモンド・ロスタンが、どのようにして、不朽の名作『シラノ・ド・ベルジュラック』を創作したのかを描いたものです。
観劇してきましたので、シラノの物語と合わせてご紹介します!
- 不朽の名作を生んだ劇作家、Edmond Rostand / エドモンド・ロスタン
- パリで一番美しい劇場、パレ・ロワイヤル劇場
- 悲恋の物語、Cyrano de Bergerac / シラノ・ド・ベルジュラック
- 吉田幸太郎とドバルデューのシラノ
- 追記:映画にもなりました
不朽の名作を生んだ劇作家、Edmond Rostand / エドモンド・ロスタン
『Edmond / エドモンド』は、フランスの劇作家エドモンド・ロスタンが、どのような運命の導きで、フランスの劇史上、唯一無二の名作、『シラノ・ド・ベルジュラック』を生み出したかを描いた劇です。
舞台に登場するのは、観客が減って閉鎖するしかない劇場の俳優たち、短い期間で劇を書くように注文を受けて苦しむエドモンド、彼を支える妻、エドモンドにインスピレーションを与える娘などです。
たくさん笑わせたあとに、観客たちを感動に巻き込む、熱のこもった演技に夢中になりました。
パリで一番美しい劇場、パレ・ロワイヤル劇場
ルーブル美術館の向い側にある壮麗な建物、パレ・ロワイヤルは、ルイ14世も暮らした王宮です。その敷地内にあるのが、パレ・ロワイヤル劇場です。
1784年建造の建物は、大通りから奥まったところにあるので、車の排ガスから守られてきたため、今も美しい外装を残しています。
座席は、全部で700席あまりです。
2階席以上の円形のバルコニーや歴史ある内装の美しさに、うっとりしてしまいます。
悲恋の物語、Cyrano de Bergerac / シラノ・ド・ベルジュラック
劇作家、エドモンド・ロスタンの描いた『シラノ・ド・ベルジュラック』は、17世紀の実在の人物をもとにしています。
物語のシラノは、頭脳明晰で、詩人で剣の腕の立つ貴族です。しかし、鼻がおそろしく大きく醜い顔をしているため、女性にはモテません。
長い間、従妹のロクサーヌに恋しているのですが、醜い自分は相手にされるはずがない、と思いを心に秘めたままです。
そこに、現れたのが若くハンサムなクリスチャンです。
クリスチャンがロクサーヌに一目惚れし、また、ロクサーヌもクリスチャンを好きになったことを知ったシラノは、自分の思いを押し殺してふたりの仲を取り持ってしまいます。
シラノがどんなことをしたか、わかりますか?
クリスチャンの代わりにラブレターを書き、愛の言葉をロクサーヌにささやいたのです。
クリスチャンは、ハンサムで性格も良いのですが、美しい愛の詩を書くことなど一切できない無教養な若者。一方、ロクサーヌは、文学を愛する知性的な女性。
本当なら、うまくいくはずがないのに、シラノが間に入って、シラノの本当の気持ちのこもった愛の言葉で、ロクサーヌの心を動かしたのです。
ロクサーヌは、手紙や愛の言葉は、クリスチャンのものだと信じて、ふたりは結婚します。そして、・・・
続きは、せっかくなので、ご自分の目で確かめてみてくださいね。
個人的には、世界で一番美しい悲恋の物語だと思います。何度観ても号泣です。
吉田幸太郎とドバルデューのシラノ
日本では昨年、吉田鋼太郎さんがシラノ役で、上演され絶賛されていました。1897年の初演以来、世界中で舞台で上演され、映画にもなっています。
映画なら、フランスの名優、ジェラール・ドバルデューがシラノを演じた1990年の『シラノ・ド・ベルジュラック』が絶対におススメです。
アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、フランスのカンヌ国際映画祭では、主演男優賞を受賞しています。ジェラール・ドバルデューの最高の作品のひとつです。
Théatre de Palais Royal / パレ・ロワイヤル劇場公式サイト
Théâtre du Palais-Royal | Le site officiel
『Edmond / エドモンド』
上演時間1時間50分
チケット料金:17ユーロ(およそ2100円)~60ユーロ(およぞ7300円)まで5段階
私たちは、スイスからせっかく来たので、思い切って一番高いチケットを買い、座席は前から3列目。舞台に近くて俳優たちの体温が感じれるほどでした。
追記:映画にもなりました
『Edmond / エドモンド』は、映画も制作され、2019年1月にフランスで公開されています。日本でもきっと観ていただける機会があると思います。