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スイスの女性スト!ピンクや紫の女性たちがにぎやかに歌いながら権利の平等を訴えた日

日本の女性が投票する権利(参政権)を得たのは、1945年12月のことでした。

 

スイスの女性が、投票する権利を手に入れたのはいつか知っていますか?1971年です!!日本の女性たちより26年も後のことです。

 

意外と知られていない、女性の権利の後進国 スイスの現状をお伝えします。

 

2回目のストライキ

女性のストライキのポスター。紫色のイラスト女性が腕を曲げて力こぶを誇示している。

6月14日(金曜日)スイス全国で、女性のストライキが行われました。1991年6月14日のはじめての女性ストに続き、28年ぶり、2回目のことです。

 

公務員は、各州によって対応が違いますが、基本的には、事前に上司の了解を取った上で、仕事に支障が出なければ、有給休暇をとってストに参加して良いところがほとんどでした。

 

仕事に支障が出るからこそ、ストの意味があると思うのですが、そういうところが実務的なスイスらしいですね。

 

一般企業に勤務する女性は、有給休暇をとってストに参加しました。休暇がとれなかったり、解雇をおそれて、参加したくてもできなかった女性も多数いました。

 

スイスの女性を取り巻く問題

紫やピンクのTシャツを着た女性たちがストライキのため大勢広場に集まっている。

15時24分までの給与

同じ仕事をしても女性の給与は、男性より18%低い状態です。女性は、15時24分までの分しかもらってないという計算になるそうです。

 

法律違反ですが罰則がないのではどうしようもありません。

 

管理職になれない

スイスのトップ100の企業で管理職の女性は、わずか8%です。

 

大学入学資格に合格するのは女子のうち43%、一方男子が33%という数字を見ると、学校教育では、女子のほうが優位なのに、社会に出ると壁があることがわかります。

 

出産・子育てで仕事を失う

出産後の女性の7人中1人は、解雇されています。

 

また、日本でも問題になった保育園不足は、スイスでも同様で、保育園に入れない場合、母親が仕事を辞めるか、高い料金を払って、ベビーシッターに子どもを預けることになります。

 

子どものいる女性の80%は、勤務時間を短縮しています。子どもを産むことは、キャリアを犠牲にすることになります。

 

ファミリーフレンドリーではない小学校

スイスには学校給食はありません。子どもたちは、午前中の授業が終わると帰宅し、昼食を食べてから、午後の授業のために学校に戻ります。

 

日本のように小学生の集団登校のシステムのないスイスでは、親は

  • 朝、学校に送っていく
  • 午前の授業が終わる時間に学校に迎えにいく(昼食を食べさせる)
  • 午後の授業の始まる前に学校に送っていく
  • 午後の授業の終わりに学校に迎えにいく

と学校と自宅を4回往復することになります。

 

市町村によっては、有料で、昼食を食べる場所を用意しているところもあります。通常、ミニバスが、学校から昼食の場所の間を往復して子どもたちを連れていきます。

 

1食あたりおよそ15フラン(およそ1600円)かかります。日本の学校給食の10倍ぐらいでしょうか。

 

共稼ぎ、またはシングルの親の場合、市町村の昼食サービスを利用し、ベビーシッターや祖父母などに頼んでやりくりをしています。

 

公的なサービスが十分ではないので、小学校までの子どもがいる家庭では、母親が仕事を辞めたり、パート勤務にすることが多いのです。

 

女性だけの問題ではない

女性が、男性と平等な権利がないことは、男性には関係のないことでしょうか?

 

男性が、石から生まれた孫悟空でもない限り、母がいて、姉がいて、妹がいて、妻がいて、娘もいるでしょう。

 

女性が幸せなら、家庭も社会も明るくなるんじゃないでしょうか。

 

未来はきっと良くなる

銅像が紫の服を着せられている。

 

今回のストライキ、女性たちはシンボルカラーの紫やピンクに装いました。町中の街路樹や、銅像には、紫の布が巻かれました。

 

子連れで参加している女性たちも大勢いました。私と娘も参加しました。 

 

カラフルで、明るいストでした。女性たちは、歌ったり、楽器を演奏したり、元気でたくましくて、いっしょにいるだけで元気が出てきました。

 

私たち家族の住むヴォー州の州都ローザンヌでは、スト参加者は、4万人でした。全国では50万とも言われています。

 

人口850万のスイスでこれだけの動員ができたことは、歴史的なことです。

 

今年10月に国政選挙が行われるので、どの政党も女性票獲得のために、女性の権利向上の施策を出さないわけにはいかないでしょう。

 

昔の女性が参政権を手にしたように、みんなで力を合わせて、少しずつ女性が生きやすい社会にしていきたいと思います。