草ぼうぼうがエコになる?昆虫たちが絶滅しないために
私たち家族の住んでいるヴォー州の市町村を歩くと、どこも雑草が伸び放題なのに気がつきます。
財政破綻してしまって除草する予算がない?
それとも、人手不足で草刈りする作業員がいない?
理由を探ってみました。
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ヴォー州の街角の様子
↑ ヴォー州の州都、ローザンヌ市内の街路樹の足元は、こんな感じで、草が伸び放題です。
↑ ローザンヌ市のお隣のルノン市の道路の中央分離帯も、草刈りが必要ですね。
↑ 近くのプリー市なんて、立派にリノベーションされた中世の建物の市役所前の芝生が、雑草でおおわれてしまっています。
↑ 雑草と菜の花と赤いポピーが混ざっています。そこそこキレイな感じですね。
実は、こんなふうに、雑草を放置しているのは、昆虫たちが暮らせる場所を増やすためなんです。
昆虫が絶滅する日がくる?
この数年、世界の昆虫が激減しているという専門家の報告が相次いでいます。過去40年の間に、生息数がなんと半分に減っているそうです。あと100年もたてば、昆虫は絶滅すると予測する論文も出ています。
昆虫の役割ってどんなもの?
野菜やくだものを実らせる
ハチやチョウなどが花から花へ飛び回って、蜜をとるときに、花粉をカラダにつけていくので、花の受粉がおこなわれ果実ができます。
ハチやチョウがいなくなると、野菜や果物の実ができないことになります。
現実に、中国でハチの減少で受粉ができなくなって、人間が筆などを使って、受粉作業をしている様子がニュースでながれたのは数年前のことです。
アメリカでは、受粉作業をするロボットも開発されているぐらい、世界の状況は深刻になっています。
動物の排泄物や死骸をかたづける
動物のうんちを丸めて、逆立ちして後ろ脚で転がしていくユーモラスなフンコロガシは、よく知られています。
フンコロガシのような昆虫が、自然界の動物の排泄物や死骸を食料にして処分してくれています。
食物連鎖の土台
草や木などと昆虫、動物を含む全ての自然界の仕組みを生態系、と言います。その中で、強い生き物が弱い生き物を食べている関係が食物連鎖です。
小さな昆虫をすずめが食べて、そのすずめをタカが食べる流れをイメージするとわかりやすいですね。
小さな弱い生き物が土台になって、上にいくほど強い生き物というピラミッドの頂点にいるのが、私たち人間です。
昆虫がいなくなれば、それを食べる鳥や動物たちは生きていくことができません。
昆虫が減っている原因
- 気候変動
- 農薬・殺虫剤
- 生活圏の減少
が、昆虫が減っている原因と言われています。
昆虫を守るためにできること
気候変動
ある種類の草は、温暖化で、気温が上昇して気候が変わると、すっかり枯れてしまうかもしれません。すると、その草を食べていた昆虫は餓死してしまいます。
太陽エネルギーを利用する、ガソリン自動車を制限する、など各国が協力して、二酸化酸素の排出量を減らす努力がはじまっています。
農薬・殺虫剤
スイスでもハチが大量死したり、減少していることが大きな問題になっています。その大きな原因は、農薬です。
皮肉なことに、ゴキブリやハエ、蚊などの害虫は、ハチやチョウよりずっと適応力が強いので、ほかの昆虫が絶滅しても生き延びると考えられています。
今までは、大量の農薬を使って、生産性を上げることが一番大事でした。
そんな農業から、土づくりを大切にして、地域に根ざした有機農業に転換するところが少しずつですが、増えています。
消費者も有機食品を選ぶようになれば、昆虫に優しい農業を応援することができます。健康にも良いですよね。
昆虫の生活できる場所を増やす
森林の破壊や開発で、昆虫たちの住む場所がどんどんなくなっています。
ヴォー州の市町村で、雑草が伸び放題なのは、昆虫の生活できる場所をできるだけ増やす試みです。
きれいに整備された芝生は美しいけれど、昆虫が住みやすい場所ではないからです。
まとめ
昆虫が暮らしやすい世界を取り戻すには、私たちは、いくつか不便なことをガマンしないといけないようですね。
庭の雑草も少しそのままにしたり、少し値段の高い有機食品を買ったり、冷房を1度高くしてみたり、ぐらいなら今日からでもできそうです。