春をむかえるカーニバルとイースターのチョコレート
スイスの冬は、長いのです。
秋から冬にかけて、日がどんどん短くなっていくときの、ザンネンな憂鬱な気持ち。日中も、雲が低くたれて、うす暗くて、気持ちまで、どんよりしてしまいます。
だから、明るく、暖かい春を待ち望む気持ちは、ホントに強いんです。
2月から3月にかけて、日がのびてきて、朝おきたら、もう外が明るくなっていたら、春がやってきたしるしです。
春は、お祭りとかチョコレートとか、いろいろ楽しいことが、待っています。
春のお祭り
カーニバルは、謝肉祭、とも呼ばれるお祭りです。
華やかな衣装で、サンバを踊りながら、パレードする、リオのカーニバルが、有名ですよね。
カーニバルは、キリスト教に関わるお祭りで、イースター(復活祭)の46日前の時期に、スイスの各地で行われます。
イースター(復活祭)を基準に、日程が決まるわけですが、そのイースターが、『春分の日の後の最初の満月の次の日曜日』になるので、毎年、日付が変わってしまいます。
ちょっとわかりにくいですね。
カンタンに言うと、カーニバルは、2月か3月中に行われます。
キリスト教以前には、春がやってくるのをお祝いするお祭りだった、とも言われています。
その地方のお祭りが、キリスト教の中にとけこんだ、ということでしょうか。
現在のカーニバルは、宗教とのかかわりは、うすくなっていて、大きな、年間行事という感じです。
スイス最大のお祭り バーゼル・ファスナハト
バーゼルは、チューリッヒ、ジュネーブの次に大きいスイスの都市です。
ドイツとフランスの国境にあるので、ドイツ語とフランス語のバイリンガルな都市なんです。
バーゼル・ファスナハト(ドイツ語でカーニバル)は、スイス最大のお祭りです。
仮面をかぶって仮装したひとたちが、楽器を演奏しながら、通りをパレードします。
仮面や衣装や飾りつけは、それぞれのグループごとに、何か月もかけて、用意するそうです。
バーゼルのひとたちにとっては、本当に大事なイベントです。
バーゼル・ファスナハトが、ほかの地域のカーニバルと違うのは、3日間、つまり72時間、夜どおしのお祭りだということです。
昼間だけではなく、夜もパレードが行われます。
夜は、さまざまな灯りをかかげて、パレードするので、とってもキレイです。
日程は、2019年は3/11~3/13でした。
2020年は3/2~3/4です。
機会があったら、ぜひ一度見にきていただきたいお祭りです。
2017年には、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。
日本だと、能、歌舞伎、神楽、和食やさまざまなお祭り、などが、世界無形文化遺産に登録されていますね。
ヴァレー州の町モンテーのカーニバル
モンテーは、ヴァレー州の町です。
ヴァレー州は、ドイツ語を使う地域と、フランス語を使う地域にまたがる州です。
私たち家族が住んでいる、ヴォー州(フランス語圏)のとなりに位置します。
ヴァレー州で、有名な観光地の中には、アルプス山脈の山、マッターホルン(標高4478m)や、そのふもとにある、ガソリン車で入ることが禁止されている、ツェルマット、という町があります。
モンテーは、フランス語圏の地域にあるので、お祭りの名前は、フランス語でいうとカルナヴァルになります。
いろいろな仮装をしたグループが、音楽を演奏しながら、メインストリートをパレードします。
そして、一番盛り上がるのが、広場での、紙吹雪合戦!
子どもも大人も、大きな袋いっぱいの色とりどりの紙吹雪をもって、広場に集まり、お互いに、紙吹雪をかけてまわります。
紙吹雪は、町のあちこちで、売られているので、好きなサイズや色のものを、買うことができます。
顔めがけて、投げつけるのは、危ないので、コツとしては、両手をコップのようにして、たくさん紙吹雪を入れて、上に向けて投げるようにします。
広場には、紙吹雪用の大砲も、出現し、ものすごい量の紙吹雪をまき散らします。
翌日、雪のように積もった紙吹雪のそうじが、大変なんだそうです。
全身、紙吹雪まみれになるので、しっかりはらったつもりでも、洋服の中や、靴の中に入っているので、家の中に、紙吹雪が、点々とちらばることになります。
何か月もたって、ふとバッグの中を見ると、そのときの紙吹雪が、ちらちらと残っていて、ちょっとうれしくなったりします。
花が春を知らせる
少し暖かくなると、スイスでは、いろいろな花がいっせいに咲き始めます。
花たちも、じっと春がくるのを待っていたんでしょうね。
レンギョウ(フランス語でForsythia)は、輝くような黄色が美しい花です。
夫の母が、春になると、『レンギョウは、春一番に咲く花なのよ』、とうれしそうに言っていたのを思い出します。
クロッカスや、プリムラのような、地面に小さく咲く花を、見つけるのも、春の楽しみです。
散歩していて、こんなお庭を発見!
春の香りがいっぱいの、わくわくするステキなお庭ですね。
イースター(復活祭)のチョコレート
春になると、スーパーの一角は、チョコレートで、いっぱいになります。
これは、イースター(復活祭)、フランス語では、Pâques(パーク)のお祝いのためのチョコレートなんです。
復活祭のシンボルの、ウサギや卵の形のチョコレートが、ところ狭しと、並べられています。
今年のパークは、4月21日の日曜日。
4月19日の金曜日と22日の月曜は祝日になるので、四連休!
学校は、15日月曜日から2週間お休みです。
大人も子どもも、楽しみにしています。
その日は、遠くに住む、おじいちゃん、おばあちゃん、親せきのところに行って、みんなで、ラム肉やウサギ肉などのごちそうを食べるんですよ。
そのときに、飲み物や花束、そしてもちろん、チョコレートをたくさん持っていきます。
チョコレートは、プレゼントにするだけでなく、自宅にもかざります。
復活祭の、1か月以上前から、チョコレート売り場ができるので、ついつい、買ってしまって、お祭りの前に、結構食べちゃいます(笑)
フランス語の春のことわざ
En avril, ne te découvre pas d'un fil.
直訳すると、『4月には、洋服をうすくしてはいけない』、というフランス語のことわざです。
スイスの4月は、まだまだ、寒い日があって、たまに雪もふったりします。
春がきた、と思って、暖かい陽気にうかれていると、また、寒くなったりして、風邪をひきますよ、ということです。
油断大敵、ってことなんでしょうか。気をつけます!